二胡の奏法・構造分析・改良・中国の琴行情報、広州・上海ネタなど
by Star Gate Erhu
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二胡は太鼓?それともスピーカー?
高音からのスピンアウト ねた です。

かつて、二胡の皮を太鼓の皮と同じものだとして、その振動の様子を考えてみたことがあります。太鼓のような膜の振動には倍音構成はないそうで、これが、単純だった弦の倍音構成に複雑さを与えるんじゃないかとも考えていました。 でも、マイクで二胡の音を拾ってスペクトル解析してみると、きれいな倍音構成になっています。 つまり、太鼓と同じと考えるには無理があるなと思い始めました。

以前に Jimmy さんが、スピーカーを同じでは?というコメントをされており、それに呼応してかどうか解りませんが、二胡工房さんが、スピーカーメーカーさんと、なにやら取り組みを始められました。

ということで、二胡(の皮と胴)は、スピーカーのコーンと箱(キャビネット)に近い働きをしているんじゃないか?と、最近思いはじめました。
身の回りで最も二胡に近いのは、「糸電話」かな?
※ 糸電話のどこが、身の回りなんじゃい! 
あとメガホンなんてのも、音をまとめて、指向性を持たせるって意味では胴と同じかも。

これも、長~いテーマになりそうですが、
使い手があまり手を出せる領域じゃないですね。。
by soukichi_uchida | 2010-05-11 06:49 | 二胡うんちく | Trackback | Comments(4)
高音がよく出る(伸びがよい)とは?
前回までの記事では、
弦楽器の宿命と言える、ハイポジションでの音量、音質の
貧弱化とその対策を、使い手の立場から考えていました。

一方で、nishino さんや、鏡深さんから
楽器側に対するコメントがありましたので、
そこに少し踏み込んでみたいと思います。

よくこの楽器は、この弦は高音が伸びるとか、
そういう言い方しますよね。
これって、どういうことでしょう?

結論(仮説)を先に簡単に書くと、
 1)1/Nのハイポジションでも、エネルギーロスなく、
   開放弦の 1/Nの音量に限りなく近い音量を出せる
 2)特に高倍率の倍音成分のロスが少ない

この状況が、高音が伸びるという事だと考えられます。

二胡には増幅器がついていないので、弓や指から弦に与えたエネルギー以上の
音は決して出ない。出ないけど、いかにロスなくそのエネルギーを音に変えるかが、
カギなんでしょう。

--- 本題 
「高音が伸びる」とは?

これまで、ハイポジション(高音域)での
音量の低下と倍音構成の貧弱化の原因と対策を書いてきました。

対策は主に使い手から見たものでした。

作り手側からの対策は、あまり考えた事がなく、想像(妄想)力もあまり働かない
のですが、少し考えてみます。

その前に、
よく、「この楽器は高音の伸びが良い」とか「高音が伸びる弦だ」とかいいますよね。
「高音が伸びる」とはどういうことでしょう?

2つのポイントがあると思います

1)ハイポジションでの音量の低下が、理論値に近い

 開放弦に対して、1/4 ポジションの音量は 1/4 になるはずです。
 ところが、これはあくまで理論値であり、実際には、弓から弦に与えられ
 たエネルギーは
 弦 ⇒ 駒 ⇒ 皮 の過程でなんらかのロスをしています。

 どのポジションでもロスは発生していますが、ハイポジションになればなるほど
 元々の音量は小さく、ロスによる影響が大きい(聞こえなくなってしまう)のでは?
 と想像されます。

 このロスが小さく、音量が理論値に近いものが、「高音が伸びる」感覚に
 繋がるのでしょう。
 高音が伸びるというよりは、「高音が落ちない」と言った方が正しいでしょう。

2)高次の倍音が落ちにくい

 1/4 ポジションを例にすると、
 1/4 での音量は開放弦の1/4,

さらにこの音(A5)の倍音はさらに、1/2,1/3,1/4 となっていきます。
 弦 ⇒ 駒 ⇒ 皮と振動が伝わる過程で、
 通しやすい、通しにくい周波数帯があれば、1/2,1/3,1/4・・・・の関係は
 崩れます。
 この崩れ方によって、音質がきまるのですが、
 落ち方によって、人の耳には聞こえなくなってしまいます。

 バランス良く高次が落ちないのが、「高音が伸びる」という感覚に繋がるのでしょう

さて、どうすればこれが実現できるかを、考えてみましょう? ----> 続く

PS
 もはや、二胡がどうのこうのいう話じゃなくなってきましたね。。。
by soukichi_uchida | 2010-05-09 07:13 | 二胡うんちく | Trackback | Comments(2)
高音域(ハイポジション)を 豊かではっきりした音にするには?
なんで、ハイポジションでの音が小さく、倍音構成が貧弱なのか?って話は
これまで何度もしてきました。

これを、どーやってやっつけるか?テーマが重過ぎてしんどいです。
以下、かなりの独断を交えて。

★まず、音が小さい事とその対策について

開放弦の弦長での弦の重さを m とすると、1/4 ポジションでの弦の重さは 
(1/4)m となります。 E=(1/2)・m・v^2 の関係から、1/4ポジションの弦の
運動エネルギーは、開放弦の 1/4 となります。つまり音量も 1/4 です。

また、下図の様に、弦の振幅もハイポジションでは小さい事から、音が小さく
なってしまうことが理解できるでしょう。
b0098997_3585242.jpg
音が小さくなってしまうだけならまだいいのですが、その音が、ノイズ(雑音)に埋もれてしまうという問題が生じます。
これは皆さんも体感しているでしょう。
ハイポジションでの「音のかすれ」た感じ、がこれです。
目的とする音は出ているのですが、その音量がノイズとトントンなので、
こんな感じの音に聞こえてしまいます。
b0098997_3262715.jpg

●対策その1(音をはっきりさせる、キレイにする)
音が小さくとも、ノイズを減らせば、目的とするははっきりとクリアになります。 
こんな感じ↓
b0098997_3264810.jpg

●対策その2(ノイズはそのままに、音量全体を上げる)
SN比は向上するので、目的とする音ははっきりしてきます。 
こんな感じ↓ 
b0098997_3265944.jpg

実際には両者の組み合わせ、ノイズを減らしつつ、音量を上げるという対策を、やっています。

I: ①~③ 奏法上の対策
① 奏法上のチョ~基本。
 できる限り琴皮に対して直角に、弦には直角に弓を動かす。 あたりまえの
 話なんですが、これで最大効率で、目的とする音がでます。(対策2)
② 弓の速度を上げる(弓を大きく使う)
 E=(1/2)・m・v^2 での関係から v(速度)をあげれば、エネルギーも
 大きくなります。 1/4 ポジションでは、 速度 v を2倍にすれば、音量は 
 開放弦と同じになるはずです。
 恐る恐る弾けば弾くほど、音は悪くなる。
 ハイポジションほど、弓は大きくってことですかね?
③ ビブラート(圧力タイプの)をかける。 
 以前の記事にも書きましたが、弓以外に、弦にエネルギーを与える手段
 としてのビブラート。特に、遅い弓の時には効果的

II:楽器の対策 (主にノイズ対策)

④ お手入れ
 松脂に塗りすぎ、弦に松脂がこびりついてる等
⑤ 弓と胴が擦れる音(雑音)を低減させる。
 テンベンの材質を工夫したりして、弓の竹や毛の擦れる音をなんとか
 しようとしてる人もいるようです。
⑥ 駒と控制綿を選ぶ
 これらは、フィルターとしての機能も果たしています。自分の楽器とのいい
 組み合わせを探す
⑦ ちゃんとした二胡を購入する
 って、「あたりまえやろ!」と言われそうですが、、どう調整してもダメな楽器も
 ありますよね。購入時にちゃんとチェックしとかないと、どーしようもないですよね。

★音を豊かにする
ハイポジションでの倍音構成は、原理的にどうしても貧弱になります。
開放弦(440H) と 1/4ポジション(1760Hz) 比べてみましょう。
1760Hz 以上だけを見ると、1/4 ポジションの倍音構成がいかにスカスカ
なのかが明らかです。
b0098997_3271353.jpg
b0098997_327455.jpg
こればっかりは、原理的にどうしようもありません。

そこで、登場するのがビブラート。 ビブラートは、指を揺らして弦長を変化させたり、圧をかけて張力を変化させて、目的とする音の周波数を中心に周波数を変化させています。こんな感じ↓
b0098997_337558.jpg
同様のことが、全ての倍音で起こる訳ですから、上の倍音構成グラフは
こんな感じになります。
b0098997_3275557.jpg
開放弦には遠く及びませんが、スカスカの部分は多少なりとも補間されています。
ビブラートは、弦にエネルギーを与えると共に、音を豊かにするという効果もあるんですね。(あたりまえか。。) 圧をかけるだけのビブラートだと、周波数はプラス方向にゆれるだけなので、効果は半分です。弦長を変化させるものとの組み合わせで、最大の効果となるんでしょう。

■まとめ
楽器のお手入れとか調整以外は、どの対策をとっても、結局は「腕」ですね。
ちゃんとした弾き方をしてないと、どんな道具を使っても、どんな調整をしても、
その効果の比率は小さいと思います。
まずは、ちゃんとした音が出せること。 修行が必要ですね。
わかっちゃいるんだけど。。。
こんなこと書いてないで、練習あるのみです。
by soukichi_uchida | 2010-04-30 13:47 | 二胡うんちく | Trackback | Comments(4)
二胡は高音域が苦手 2
以前の記事外弦のスペクトル分析(?)で、A3,A4,A5 のスペクトル分析をやってたのを思い出しました。
b0098997_0124059.jpg
確かに、ポジションが高いほど、倍音構成が貧弱になっていることが解ります。
また、音の大きさですが、上のグラフでは同じ様に見えますが、縦軸は自動調整されています。
これは、ノイズ(雑音)の部分を見ると解ります。 A5でウジャウジャと出ているノイズは、A3ではとても小さい。でも実は同じ大きさです。

ということで、二胡はたった二本の弦で3オクターブぐらいの音を出す機能を持っているけれど、実際に音楽として楽々使える幅はもっと狭いと言えます。
このへんの音を使いこなすには、相当な修行がいるって事ですね。

次に、バイオリンとの比較を行ってみましょう。
高音域で音が細るのは、二胡だけじゃなくて、弦楽器の宿命です。
でもバイオリンは、弦の数を増やすことによって、二胡での問題をカバーしています。

バイオリンは4弦構成で、 低いほうから、G、D、A(3)、E。
中の2本は二胡と同じく、DとA。

A弦のみで、二胡と同じように A3,A4,A5と音を出すこともできますが、
A4,A5は 最外弦のEで出すことができてしまいます。
b0098997_703223.jpg
バイオリンと二胡で、音の深みが違うな~と感じるのは、共鳴胴の大きさ形だけじゃなく、こういう理由もあるんだなー、という事が認識できました。

二胡はこれを克服するために、弦長をバイオリンより長くしています。
二胡の弦長は だいたい 38cmで、バイオリンは だいたい32cm、
二胡の方が6cm長い。
同じ音程の音を出しても、長い方が、高次の倍音が含まれやすいはず。
なんですが、やはり2弦しかないのは、つらい。。。

指がつらいとか、弾きやすいからといって、闇雲に千金の位置を下げてしまうと、音も変わってしまう(倍音構成が貧弱になる)ということも容易に理解できますね。

という事で、ファンクショナリティーとしては、やはりバイオリンには勝てない。 勝てないというか、同じ土俵で勝負するもんじゃない。 というのが感想です。
二胡は、二胡がもっとも二胡らしい音をだせるところで使うべきなんだなー、と思う今日この頃です。。。
by soukichi_uchida | 2010-04-30 01:48 | 二胡うんちく | Trackback | Comments(3)
二胡は高音域が苦手 1
ポジションの高い低いで、音の何が違うかを考えてみます。

外弦A を例として
 開放弦  : 440Hz A(3)
 1/2ポジション: 880Hz A(4)
 1/4ポジション: 1760Hz A(5)
となります

ちなみに、A5 は、D調 の ソ、●二つ付きです。

それぞれの倍音構成を、頭のところだけ見ると
b0098997_0125899.jpg
となります。 これを可聴範囲(20,000Hzぐらい)までプロットしてみると。 こうなります
b0098997_14332558.jpg
 
b0098997_14333595.jpg
b0098997_14345016.jpg
 高音ほど、音量が少なく、倍音構成も貧弱となることが、模式的に理解できます。
これには、僕も認識を新たにしました。。 なるほどねー、でした。

数字じゃなく、図的に弦を振動する様子を見てみましょう。
b0098997_702167.jpg
確かに、絵を描いてみても、高音ほど含まれる倍音の少なさが理解できました。

ここで、誤解の無いように、、追加説明。
1/2(A4), 1/4(A5) でも、高次の倍音はあるにはあります。 でも、元々の基音の大きさが小さくなっているのと、人の可聴範囲を超えてしまったりと、実際に耳に聞こえる倍音が少ないと感じるのです。 

長くなるので、続く、、
by soukichi_uchida | 2010-04-29 07:05 | 二胡うんちく | Trackback | Comments(0)
ビブラートの効能
音の揺らぎによる心地よさとか、手法の話じゃありません。
そんなもん知っとるわい!」 とか 「当たり前やんけ!
とか言われそうなネタなんですが。。

娘のEギターを弾いてて気がつきました。

ギターでもビブラートはかけます。
ビブラートをかける事により、サステイン、リリース(減衰後の音の保持)
時間が延びます。指をプルプルやることによって、弦がフレットにこすり
付けられて、消えようとしてる振動が長持ちします。
b0098997_175241.jpg

※話は横道にそれますが、アンプのところにギターを持って行って、
 スピーカーからの音と弦を共鳴させて音を長持ちさせるって荒業も
 ありましたよね。。Jimmy さん。

でこれを二胡に置き換えて考えると。。。。

二胡の様な、擦弦楽器は、弓を止めてしまえば、ブチっ!と 音が消えて
しまうので、ビブラートによってサステインが延びるなんてことはありません。

でも、似たような効果があるんです。

たとえば、一弓四拍とか、八拍なんてロングトーンの時、弓の速度は
ゆっくりに(遅く)なります。 速度が遅いということは、弦が弓からもら
うエネルギーが少ない。  つまり音が小さくなります。

ここで、登場するのが、ビブラート。
ビブラートを行うことにより、 
これまで弓に擦られるだけだった弦が、自ら動いて弓に擦られに行く。
b0098997_23174979.jpg
弓から貰うエネルギーに加えて、指から貰ったエネルギーが加わる。
これによって、遅い弓で、弱っちかった音が、はっきりとした音になる
つまり、音量アップする。
と思うんですが、どうでしょう?

ちなみに、このビブラートは指で弦に圧を書けるビブラートであって、
弦の長さをビミョ~に変化させるタイプ(指の角度変化、位置変化)では
効果がないと思われます。
 
この効能は、特に音が小さくなってしまう、高音部でより効果的でしょう。
ビブラート無しだと、カスカスの音だったのが、ビブラートをかける
とクリアな音になったりします。
これは、一度スペクトル分析してみる必要があります。

ところで、高音部の音量が小さくなり、音質も痩せた感じになってしまいます。
これは擦弦楽器の宿命のようなもんですが
「バイオリンとの比較」ってテーマで分析してみたいと思います。  
by soukichi_uchida | 2010-04-25 18:03 | 二胡うんちく | Trackback | Comments(4)
二胡弦の材質を元素分析してみる 7 赤と青、 銀と銀
前の記事に折込済みですが、改めて、先日購入した FFの赤と、銀の二胡弦を元素分析してみました。
FFの弦は赤と青、銀の弦は、以前購入した400円ぐらいの安いやつとの比較も行います。

●まず FF(ファイナルファンタジーではありません、念のため)
b0098997_22561131.jpg

違いがほとんどありません。 
価格は 青 < 赤 です。
仕上げや、鋼材を作るときの焼きなまし(nishinoさん情報)に
違いがあるのでしょうか?
それともビミョーな配合の違いが音質の差となるのか?

これは、弾いて違いを見極めるしかないですね。
piano さんよろしくっ!

それぞれ、特徴的なのは、
外弦は、99%以上鉄である。 内弦の芯もほぼ同じもの。
内弦の巻きは、どう見ても ステンレス(SUS)。
外弦は錆びます。
興味深々なのは、 内弦、中(芯の側)から錆びたら、巻きの部分のSUSはどうなるんだろう? デス

●次に 銀
b0098997_2316489.jpg
下が今回購入した銀二胡弦で、約1000円、上が以前元素分析した400円ぐらいの銀の弦。

どちらも、外弦には銀は入っていません。
高い方はさすがに 内弦の巻き部の銀の含有率が高い。
内弦の芯はそれぞれ、鉄が主成分ですね。

他の「銀」をうたった弦も、外弦にはやはり銀は使ってないのかな?

また、お小遣いに余裕でたら、あまり高くない弦を買って調べます。 
まだまだ続くです。

うーん、換え弦のストックが沢山できたなー(^_^;;
せっせと使わなきゃ。。。
by soukichi_uchida | 2010-04-22 23:29 | 二胡うんちく | Trackback | Comments(2)
弦の劣化 その6(錆、元素分析から見えるもの)

一番初めに、二胡弦を元素分析をした時、その弦(蘇州1号についてきた弦)の
外弦の成分がまるっきり ステンレス(SUS) だったので、
「二胡弦はステンレスべースだ!」と頭のなかにこびりついてました。。

で、錆の話で 「ステンレスは錆にくい」、ステンレスを使ってる二胡弦も錆びにくい
なんてことを書いてましたが、間違いでした。

全くの間違いではありませんが、 二胡弦はやっぱり錆びます。

いいかげんな事書いて、すみませんでした。。

これまでの 二胡弦の元素分析のデータをまとめ直してみたら、
「SUSだ!」 と言い切れるものは、ごくわずかだということが解りました。
b0098997_2061690.jpg
蘇州のオマケの弦の外弦と、FF の赤、青の内弦の巻きが明確にSUSに分類される合金です。それ以外の弦の外弦と内弦の芯は、ほとんど鉄(Fe)です。

つまり、錆びにくいのではなく、「錆びやすい」んです。

弦を拭いて、ゴリゴリ取れる黒いのは、錆びと手垢と松脂です。(きっと)
ゴリゴリ取れるのが、茶色っぽかったら、もうおしまい。。
とっとと、弦を変えましょう!

まめに、弦のお手入れしましょーねー。 これから梅雨だし。。
by soukichi_uchida | 2010-04-22 20:28 | 二胡うんちく | Trackback | Comments(0)
弦の劣化 その5(錆について)
たまたま Maio-108 さん()で、錆の話をされてますんで、
錆に興味のあるかたは、参照願います。

で、二胡弦の錆のお話

これまでの元素分析の結果から、
外弦と内弦の芯は、鉄を主成分とした合金であることが判明しています。
混ぜ物としては、Cr(クロム),Ni(ニッケル)が多く、外弦と内弦の素材は
SUS(ステンレス)のカテゴリに属する物だと思われます。
「ステンレス」てぇのは、その名の通り「錆ない」です

※安~い(数元)の弦で、99%鉄ってのもありました。
 たしかあれは、油でギトギトにしてビニール袋に入ってました。
 守ってくれるものがないので、こうしているんでしょう。

一方、内弦の巻き線は、Ni、Cr、銀のどれかが使われています。
これらの金属は空気中で酸素反応(酸化)し、表面に酸化被膜を作り
内部に腐食などが進まない金属だと言われています。

どちらを取っても、二胡の弦は、錆ない、錆びにくい材質を使っている
はずですが、二胡の弦って錆ますよね

長時間お手入れをしていない弦は、錆てます。
タオルで拭くとゴリゴリと錆が取れます。(特に外弦)
二胡教室なんかで、二胡を買ってから、一度も弦の交換をしたことない、
お手入れもしてない人の弦はこんなだったりします。 

なんだかんだ言っても二胡弦は錆ます

手垢、手汗の塩分、マツヤニ(有機化合物)が長時間付着し、空気中の水分も
手伝ってジワジワと酸化が進むんでしょう。

酸化のメカニズムはともかく、
酸化し錆が発生すると何が問題なのか? を考えてみます。

1)不均一性の増加
  均一に錆びるわけじゃないでしょうから、弦の設計者が想定する
  均一さの範囲を超えてしまう。
  音質が変化する

2)強度の低下
  錆びているところの強度が低下することは容易に想像できますね。
  結果切れやすくなると思われます

3)質量の変化による、音質の変化
  酸化して、酸素がくっつく訳ですから、酸化で使われた酸素の分だけ
  単位長さあたりの弦の重さは変わります。

4)ノイズの発生、弓の痛み
  擦弦点付近で弦に錆があると
  錆のガリガリを弓が擦る事になります。
  これにより、
   弦が錆を擦る、期待されないノイズが発生する(のではないか?)
   錆のガリガリを擦ることにより、弓も痛む

5)弦がヤセる
 一旦錆びてしまった弦を、タオルとかで、ゴシゴシやって
 錆を落とすと、錆の元は弦の金属なので、弦そのものがヤセてしまいます
 ヤセる=細くなる。 それも均一ではない。
 これの弊害はもう説明するまでもありませんね。

ということで、弦が錆てしまうと、ろくな事は無いですね。

一方で、ちゃんとお手入れしていれば、
いい錆が被膜として生成され、弦を保護する役割を果たします。(たぶん)
SUSの中の Cr なんてのはそのための物ですし。

二胡を弾き終わったあとは、綺麗に手垢や手汗、マツヤニをふき取り
ジトジト湿気のある場所には保管しない。 ですね。

あのタオルで拭いたらついてくる黒い筋、錆ですよね?
錆じゃなくって、手垢とか、こびりついた松脂の酸化したもの、
ただの汚れって事ないですよねー。。。
by soukichi_uchida | 2010-04-20 23:04 | 二胡うんちく | Trackback | Comments(4)
弦の劣化 その4(内弦の延び)
内弦は、外弦と異なり二層構造です。
張力による延びとその影響は、一層の外弦とは異なると思われます

これまでの元素分析では、
内弦は、だいたいどこのメーカーも
芯の部分は外弦と同じ材質で、
外側の巻きの部分は異なる材質が使われていることが判明しています。

これに張力がかかった場合、芯と巻きで異なる延び具合となるはずです。
もちろん、それは計算づくて弦は設計されているでしょうから、
張力がかかったからといって、いきなりダメになる訳じゃないでしょう。

弾き込みが激しい場合や、長時間じわじわと張力がかかった場合に、
材質と構造(巻き)の違いによる影響が出てくると思われます。
b0098997_213828.jpg
巻き線は一見均一に巻きつけられているようですが、実際には、
バラツキ(不均一さ)があると思われます。これが左右から引っ張られた場合、
その不均一さは、下側の絵の様に、より大きくなります。

ここで、よく解らないのは、巻き線が芯にどうやって接着しているのか? です
圧着されているのだとは思いますが、芯線と巻き線が別々に延びるわけ
ですから、どこかの時点でお互いにくっついていられない臨界点があるはずです。

ここでも、ゴチャゴチャと書いてますが、延びた場合の影響は、
基本的に外弦と同じでしょう。
張りがなくなり、音量が下がる。
合金の不均一性と太さの不均一性により、延びやすいところと、
延びにくいところがある。  これが音質に影響する。 
内弦の場合これに加えて、
巻き線の不均一性と、 芯と巻き線の剥がれという要素が加わります。

これまでの考察では、内弦のほうが、外弦よりも劣化による影響が
激しいんじゃないかと思えてきました。
実際どうなんでしょう? 

そんなにヘロヘロになるまで使ったことがないので、わかりません・・・

その5に続く、 (錆に関して)
by soukichi_uchida | 2010-04-19 02:25 | 二胡うんちく | Trackback | Comments(6)